専門職としての才能をかわれ、忙しく仕事に専念していた彼は50代の会社員。
遠方のご両親の加齢に伴う介護が始まったのを機に、両親を埼玉県の一軒家の自宅に呼び同居が始まった。
同居が始まり二人の介護は慣れない事もあり、行政を頼りにはしたが
帰宅後の入浴や着替えの介助、夜中の洗濯等で寝不足が続き疲労困憊に陥ったと言う。
あの頃は平常心が保てずどうにかなりそうだったと話す彼。
同居して間もなく父が他界し、暫く自宅介護が続いた母も、進行が一挙に進み施設に入所した。
兄弟はいたが遠方で頼りにすることが望めず、結局、両親の介護を1人で必死に頑張った彼。
そして、改めて自分の人生を考え始めて来社したのは、若葉が萌え出る初夏の頃。
今まで1人暮らしの時にも考える事がなかった結婚を、何故か急に考え始めたと話す。
幼少の頃から今日までの話をその時々の想いと共に語る彼には
両親との多くの思い出と壮絶な介護をやり切った満足感が溢れている。
施設入所はお金が掛かり大変だが、今は施設で看て頂き安心して仕事が出来て実に有難いと何度も繰り返す。
寂しいですが正直父が亡くなってホッとしています、とも。
寂静も10年の介護経験があるが、経験した者でなければ到底判らない人知れぬ苦労あり、本当にお疲れ様と心底思う。
帰宅し真っ暗な家の鍵を開け部屋に電気を付ける寂しさは
ご両親と一緒に暮らしていたからこそ感じられる気持ちなのだろう。
お相手に多くを望む事もなく、只平凡な温かい会話のある穏やかな毎日を夢見る彼。
お見合いが開始され5か月目「今日の方はとても優しい方で、楽しかったです」と、
話も盛り上がったと報告をして来たそのお相手と交際に入りホッ♪
楽しいデートが暫く続き、二人の想いでも沢山創り季節が変わる頃に結婚を決めた。
結納から結婚式まで彼女のご両親は始終笑顔で、娘の結婚をそれはそれは喜んでおられたと聞いて
仲人もこの縁に寄り添えた幸せに嬉しく感謝した。
結婚が決まった時、そして、新婚旅行から帰った時もご挨拶に来てくださり
終始笑顔で周りを温かく包み込む笑顔に、気持ちが癒され二人の将来の笑顔と幸せが見える様だった。
結婚後、暫くしてある日、偶然彼の自宅近くに用事があり車で走行中